この度、理事長を拝命し今後3年間の日本臨床分子形態学会のかじ取りを任されることになりました。
私は昭和63年(1988年)、所属していた札幌医科大学病理学第二講座(森道夫教授)の大学院生の時に教授に言われるまま当時の日本臨床電子顕微鏡学会に入会して以来、それほど華々しい業績もない中、学会に参加させていただいておりましたが、理事長などいう重責を任されるなどということは全く考えたこともありませんでした。
理事長を引き受けるにあたり、私の3つの方針ついて述べさせていただきたいと思います。本学会の置かれている状態、まるで少子高齢化に向かおうとしている日本社会にあるような、閉塞感みたいなものを感じておられる会員も少なくないと思われます。このような現実を受け止めながら、これから私が行う日本臨床分子形態学会運営の基本は、第一に「ぶれずに分子形態学を貫くこと」です。科学技術の進歩とともに形態学の占める割合は少なくなったことは事実ですが、分子生物学、AI技術など新しいテクノロジーとの融合により、形態学に新しい価値がもたらされると思われますし、これからも形態学がなくなることは絶対ないと言い切れると思っております。私は産婦人科医ですが、お産が減っても、その場その場での役割は違ってきますが、産婦人科医の必要性はなくなることがないのと同じだと思っております。第二は「基礎と臨床の融合を貫くこと」です。言うまでもありませんが、この融合によって多くの気づきが生まれます。そして、本学会のような基礎と臨床の研究者が正面から議論をする学会自体が大変珍しく貴重な存在です。第三は「国際紙となったMMMを中心とした学会運営を貫くこと」です。日本臨床分子形態学会は知らなくてもMMMを知っている人は少なくありません。このような人たちを学会・学術集会に参加してもらえるようにする努力も必要です。
これらの3つの方針をもって、往時の学会から見るとダウンサイズされるでしょうが、小さいながらもオンリーワンの学会を目指すことが私の理事長としての目標とさせていただきます。そのためには会員皆様のご協力が欠かせません。どうぞよろしくお願いいたします。