本学会新名称「日本生殖発生医学会」への変更についてのお知らせ
平成29年4月1日付けで本学会名を旧名称 「日本生殖再生医学会」から → 新名称「日本生殖発生医学会」 へと改称します。
沿 革: *本学会の前身は絶対不妊の治療法の開発を目的とした学術研究集団として、2005年に「日本生殖医療エンジニアリング研究会」という名称で発足した。 *発足後7年目の2012年には「絶対不妊の治療法の開発」という目的を明確化して再生医療の一環という認識の下に、「日本生殖発生医学会」と改称した。
改名理由:iPS細胞は細胞の再生との意味で体細胞と生殖細胞の区別なくこれまで使用されてきた。しかし発生が進んで卵子と精子それぞれの生殖細胞が合体して形成された胚となった段階では、個として独立した存在に転換する。性が確定したこの段階の生命体は遺伝子構成が唯一無二の存在へと変換するので、呼び方も「再生」から「発生」へと変更しなければならない。
問題点:本邦における体外受精関連の学術集会は体外受精大国という国情を反映して極めて盛んである。しかし、体外受精の治療対象となる女性の高齢化現象に阻止されて、現行の生殖補助医療の限界が歴然となった。生殖補助医療は今や重大な転換期に直面しており、その壁を超える新たな医学的方法の開発に社会が期待を寄せている。
展 望:上述の観点から生殖医療は今や重大な転換期に直面している。従来型の体外受精は「高齢女性の不妊」治療にはその限界も明らかとなっている。しかし対応すべき方法はある。それは、本邦で開発された山中「iPS細胞」を活用した「ヒト配偶子造成の技術開発」である。実験動物を用いた基礎研究段階ではヒト精子と卵子の作成は本邦においては成功例がある。この先端的研究成果を発展させれば、生殖細胞の発生と生命誕生の様々な謎を科学的に解明することが可能となってきた。さらにヒト臨床への応用に関する議論も緊喫の課題となっている。ヒト配偶子を用いた受精と作成されたヒト胚に関する慎重かつ可能な限りの科学的、発生学的検証と、臨床応用前の最終段階、仕上げの段階における慎重な合意形成が不可欠である。
今や配偶子を欠く絶対不妊の患者さんの前途には確かな光明が見えてきました。
本学会の発展に引き続き皆様方のお力添えを切望致します。
2017年4月1日
理事長 森 崇英(京都大学名誉教授)